さまざまな分野で研究が進むALA
◉ 広がるALAの活用
健康には欠かすことができないALAですが、これまでその存在はあまり知られていませんでした。
従来、ALAは化学合成法で製造されており、原料からALAを作り出すまでに多くの手間とエネルギーを必要としていました。また生成反応の効率も悪いため、製造コストが高く、研究用試薬などの限られた用途にしか利用できませんでした。
しかし、光合成細菌という微生物を用い、酒・しょうゆの製造方法と同じ日本の伝統的な発酵法によって、従来よりも安価で大量にALAを製造することができるようになりました。
こうしてALAの製造コストが下がった結果、一部の研究用だけでなく、肥料やスキンケアなど、さまざまな分野でALAの利用が可能になりました。
◉ さまざま分野で活躍するALA
ALAからはヘモグロビンの材料となる「ヘム」が合成されるため、貧血の予防に活用されています。
また、ALAが細胞レベルでの代謝を促すことにより、体内での糖や脂肪の燃焼を助け、肝臓への脂肪の蓄積や血糖値の上がりすぎを抑制してくれることから、生活習慣病が気になる方向けのサプリメントなどの研究も進められています。
代謝機能の向上は、体内のエネルギー生産能力を高めることにもつながり、運動機能が年齢とともに低下するのを抑制します。さらに、新陳代謝の活性化を促すことと、低体温を緩和することから、男女ともに不妊対策としての有用性が注目されています。
そして、代謝の過程で生成される「代謝水」が増えることから、細胞の内側から肌を潤す効果も期待されています。
◉ 農業分野で活躍するALA
ALAの農業用途での研究では、植物にALAを与えることで収穫量が増える、果実の糖度が上がるなどの成果が発表されています。その理由は、ALAから生成されるクロロフィルが増加し、光合成能力が高まるためと考えられています。光合成効果が高まると、植物は日照が少ない環境でもすくすくと育ち、糖(単糖)がたくさん作られます。また、根からの栄養吸収を促進する効果もあるので、肥料効率の向上にもつながります。